ドライアイについて

ドライアイは大きく分けると、涙液の分泌量が減少する涙液分泌減少型ドライアイと、主にパソコン、コンタクトレンズなどの環境要因によって起こる涙液蒸発亢進型ドライアイがあります。
さらに最近は、上記2つのドライアイとは異なるタイプの「BUT(Breakup time;涙液層破壊時間)短縮型ドライアイ」に注目が集まっています。今までの診察では発見されにくいタイプのドライアイです。
これまでのドライアイ治療薬は、保湿作用を主としていましたが、2010年10月、水分と共に、角膜を覆うムチンの分泌を促す新薬が登場しました。ムチン層が増えることで涙液が安定化し、眼表面に保持される力が高まります。これまでの薬物療法では症状が改善しなかったような患者様への効果が期待されています。

目が疲れる、しょぼしょぼする、ごろごろする、夕方に見えにくいなどの症状が現れた場合は、一度検査を受ける事をお薦めします。
他にも、涙を溜めるプラグなどの治療法もありますので、お気軽にご相談下さい。

涙のはたらき

目はまぶたと涙によって守られています。
まぶたによるまばたきが、涙の分泌刺激となり涙を出させたり、目の表面に涙を均一に分布させます。

涙には、
①目の表面をバイ菌・異物から守る 
②角膜に酸素・栄養を運ぶ
③ゴミ・ホコリを洗い流す、という役割のほか、
④目の表面を滑らかな状態にして「ものをきれいに見る」動きを支えています。

涙は油層、水層、ムチン層の3つの層からなり、それぞれの働きは以下のようになります。

涙の働き

油層

涙の一番表面にあるのが油層です。涙液中の水分が蒸発するのを防ぐ役目があり、マイボーム腺から分泌される油膜が成分となります。

水層

主に涙腺から分泌される涙の主成分で、95%が水分です。目を潤す役目の他、含まれている免疫タンパクなどが眼を菌から守る役割も果たしています。

ムチン層

粘着質なので、水をはじく性質のある角膜上に涙液を安定させる接着剤の役目と瞬きの際に涙液を全体に拡散させる役目があります。糖たんぱく質のムチンが主成分で結膜上皮細胞の杯細胞から分泌されています。

まばたきによって眼の表面にベールのような網目状の膜をつくっていますが、涙の働きが低下すると、まばたきしてもこの膜を修復できず、保護してくれるはずのベールは穴だらけのままになり、眼に傷ができる原因にもなります。
涙の働き

涙腺

涙腺は涙液の分泌をしています。主涙腺と副涙腺があり、主に水層の分泌をします。そのほか、結膜粘液細胞から粘液層が分泌され、まぶたの中にある瞼板腺腺(マイボーム腺)から脂肪層が分泌されます。

涙道

涙道は涙液を排出するところです。内眼角部(目がしら)に涙点と呼ばれる穴があり、まばたきによるポンプ作用で涙液はここから涙嚢、鼻涙管を通って鼻腔へ排出されます。

涙点

上下まぶたの鼻側の内縁にある涙液の流出口です。

涙小管

涙道の一部で、涙点から続き、涙嚢(るいのう)に開く細い管です。

涙嚢

涙道の一部で、鼻の付け根あたりにあり、涙小管から流れてきた涙液が集まる袋状の部分です。

鼻涙管

内眼角(目がしら)の深部にあって,涙嚢から下方に進み上顎骨の中を通って鼻腔の下鼻道に開く管のことです。内面は鼻粘膜の続きでおおわれている、涙器の一部で涙の正常な通路です。したがって泣くと鼻水が出ることとなり,炎症などでこの管が閉塞(へいそく)すると流涙が激しくなります。

内眼角

「目がしら」と呼ばれている部分です。

ドライアイの原因

ドライアイ(角膜乾燥症、乾性角結膜炎)は、様々な要因による涙液および角結膜上皮の慢性的疾患であり、眼不快感や視機能異常を伴うものと定義されています。
空調で乾燥しがちなオフィス等で、パソコンを長時間使用している人などに発生する事が多い疾患で、ある意味現代病ともいえる疾患です。
ある調査では、オフィスワーカーの約3割がドライアイと診断され、またコンタクトレンズ使用者は特に発生頻度が高くなると言われています。コンタクトレンズ使用者の約4割が程度の差はあれドライアイだという報告もあります。

ドライアイ実態調査結果

空調による乾燥や長時間のパソコン作業、睡眠不足やコンタクトレンズなど生活環境による原因が大きいのですが、近年増加しているレーシック(角膜屈折矯正手術)を受けた人もドライアイに掛かり易くなると言われています。また他の疾患や薬の影響も考えられています。
様々なドライアイの原因を分類したのが以下の表となります。
ドライアイの原因
生活環境的要因 睡眠不足、ストレス、乾燥した部屋(エアコン)、コンタクトレンズの装用など
まばたきの減少 パソコン、TVゲーム、細かい作業、読書、運転など
アイメイク 濃いアイメイクによってドライアイが起こります。
まぶたの内側には、マイボーム腺という、目の表面の涙が蒸発しないための油が出る腺があります。
目の潤いは、ここから出る油によって保たれていますが、まつ毛の根元や粘膜にアイメークをするとマイボーム腺を塞ぎ、涙の分泌が阻害されてしまいます。ドライアイや結膜炎の原因に繋がります。
病気の影響 上輪部角結膜炎 ドライアイ疾患の一つで、涙が目の表面全体に行き届かず、黒目の上部に傷が慢性的にできる症状。
アレルギー性結膜炎 アレルギー性結膜炎などに罹った場合、炎症のため涙を目の表面に溜めておく事が難しくなるためドライアイを誘発しやすくなります。
逆にドライアイの人は、涙による異物に対する目の防御機能がもともと低下しているため、アレルギー性結膜炎などに罹りやすいと考えられています。
アレルギー性結膜炎に罹った事を契機にドライアイとなるケースや、軽度のドライアイだった人がアレルギー性結膜炎によって重症化するケースもあります。ドライアイとアレルギー性結膜炎などの疾病は相関関係にあると考えられています。
結膜弛緩症 結膜がたるんだ状態になるため異物感が強くなる他、落涙、結膜下出血が増加する。
涙液が目全体に行き渡りにくくなるため、落涙するにも係らずドライアイ症状が出る事が多い。
眼瞼痙攣 まばたきは涙を目の表面に均一に分布させるが、まばたきの機能に異常が起こるとドライアイを併発することがある。
眼類天疱瘡 水疱が瞼球に癒着しドライアイを併発することがある。
シェーグレン症候群 涙腺と唾液腺の臓器特異的自己免疫疾患。
涙腺の外分泌腺の障害により、涙がでなくなる。
スティーブンス・ジョンソン症候群 抗生物質や解熱剤の副作用で発症し、全身にやけどのような症状が現れ、眼の結膜等の粘膜に発赤、紅斑、びらん、水疱がみられる。
マイボーム腺梗塞 マイボーム腺の機能が何らかの原因で低下し、分泌物が固体化して開口部が閉塞された状態。
マイボーム腺機能不全 マイボーム腺の開口部が閉塞されて機能不全になった状態。
薬の影響 降圧剤や精神安定剤を服用していると涙液の分泌が少なくなる可能性があると言われています。
その他 屈折矯正手術後(LASIK)、目が大きい(涙の蒸発が多くなるため)、加齢(加齢に伴い涙の分泌が低下するため)

ドライアイの症状

ドライアイではさまざまな不快な症状が現れます。
通常は「眼が乾く」「眼がゴロゴロする」「眼が痛い」「光や風が眼にしみる」「眼に違和感がある」などの症状が主体です。
しかし、上記の典型的な症状以外に、「眼が疲れる」「眼がかゆい」「何となく眼が不快」「目やにが出やすい」「眼が充血しやすい」など、眼精疲労アレルギー性結膜炎、慢性結膜炎などにも共通する症状を示すことも少なくありません。
なお、結膜弛緩症眼瞼痙攣の場合、涙液を目全体に均等に分布させる事ができなくなるため、逆説的ですが「涙っぽい」「目が乾くのに涙がこぼれる」という症状となる場合があります。さらに、角膜上皮障害が強くなると「眼がかすむ」などの視力障害の症状が現れてきます。
特にコンタクトレンズをしていると、目の痛みに気付かない場合があります。従ってコンタクトレンズ使用者は目の痛みなど特に症状がなくても、定期的に医師の診察を受けることをおすすめします。また、ドライアイが進行すると、涙の量・バランスが崩れて目の表面の細胞がはがれ、傷ができることもあります。

ドライアイチェック
□眼を酷使する。(パソコン・読書・車の運転等) □涙が出る。
□毎日、冷暖房のきいた部屋にいる。 □眼がかすむ。
□眼に不快感がある。 □光を見るとまぶしい。
□眼が重たい感じがする。 □眼が疲れやすい。
□眼がかゆい、メヤニが出る。 □眼が充血する。
上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。
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